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今回のテーマは「ロジカルシンキングを常中思考にする」です。
リーダー以上の管理職は必ずといっていいほどこの思考方法を使って
仕事をおこなっています。 実務でも日常生活でも役に立つ考え方なので
ぜひ読んでみてください。
この記事で学べること
ロジカルシンキングの考え方が理解できる
ロジカルシンキングとは
ロジカルシンキングとは、論理的思考とも呼ばれる思考法のひとつです。
誰かに何かの説明をする際に「相手に納得してもらうため」に非常に有効とされています。
ロジカルシンキングは単純に思考法として活用されるだけに留まりません。
実務から日常まですべてにおいて活用できます。
・自分の考えや複雑なタスクを客観的に見つめて
・矛盾や飛躍をすることなく
・道筋が通るよう整理することで
・様々な課題を解決に導ける
最強思考の1つです。
さらに、ロジカルシンキングを身につければコミュニケーションにも役にたつ
会話の円滑スキルとしての機能も備えています。
知っていると知らないとでは雲泥の差がうまれる思考法です。
ぜひ、この機会に理解を深めていきましょう。
ロジカルシンキングはいつ、どのように使うのか
問題の解決策を見つけたい時に使う「論理的に考える」とは
つまり「道筋」がはっきりとしていることです。
100人いれば、100人が納得する道筋を考えるイメージになります。
かなりハードルが高く難しそうに聞こえますが、実際はそうでもありません。
実務で実践レベルに落としこめるよう、順番に解説していきます。
ステップ1:テーマを設定する
論理的に考えるといっても、まず最初に「何について考えるのか」
つまり、考えるテーマが決まっていなければ考えることもできません
ロジカルシンキングを始めるにあたり、重要なポイントです。
ここで間違えてしまうと、非論理的な考え方になってしまい
期待できる効果を得ることができません。
それでは
テーマを考える際の良い例と悪い例を紹介します。
悪い例
テーマ:数字について何でもいいので考える。
これはテーマが曖昧です。
数字の何を考えたらいいのかわからないのでスタートできません。
また、ゴールもわかりませんよね。
良い例
テーマ:自分の好きな数字は何か、考える。
テーマが具体的です。好きな数字は何かを考えればよいので
すぐにスタートできます。ゴールも明確ですよね。
このように具体的なテーマを決めることで、何について考えはじめるのか
ゴールはどこなのかがはっきりとします。
介護現場でも「テーマの設定」が出来ていないため、話が脱線したり
次から次に様々な意見が飛び交ったりして、結局何も決まらないまま
時間だけが過ぎてしまうことがよくあります。
なにかと問題が多い職場には
論理的に考え、原因を模索し、解決するためのロジカルなフローが整っていないのかもしれません。
ステップ1がしっかりと出来ているか、一度振り返ってみるのがよいかもしれませんね。
ステップ2:仮説を立てて、ゴール(結論)から考える
ロジカルシンキングは、ゴール(結論)から考えることで効率的に
思考の展開ができるようになります。
つまり
無駄なことを色々考えないために逆から考える。
という発想です。
具体的な例を紹介します。
ご利用者のお一人が38℃の高熱が急にでました。
これの原因について考えてみます。
尿路感染症をくり返している既往があるので
尿路感染症が一番疑わしい(←※仮説、ゴール(結論))
尿路感染症の症状として急な発熱が当てはまる(事実・根拠)
確認するとトイレ回数が多くなっている(事実・根拠)
確認すると水分摂取量が減っている(事実・根拠)
確認すると尿混濁があり、臭いが強い(事実・根拠)
ドクターに報告 尿検査の結果:膀胱炎の診断が出る(ゴール(結論))
こういったフローを頭の中で組みたてれるようになれば
すぐに原因を特定できたり、早く問題が解決できるようになります。
ロジカルシンキングは問題解決の高速化ツールとして活用できるのです。
自己判断で暴走しないようにしましょう。あくまで仮説の中で可能性の高い ゴールを設定して思考を展開していきます。
「もしかしたら、別の可能性もあるかもしれない」といった
仮説を疑い続ける思考も忘れないでください。
慣れてくると精度が向上していき、自分自身の思考速度が
レベルアップしている実感が出てきます。
ステップ3:客観的な根拠を集める
具体的に考えるテーマが決まり、ゴールが見えたら
次にすることは根拠(事実)を集めることに集中します。
道筋を整えるための材料になります。
具体的な例を紹介します。
「レバニラ炒め」と「ニラレバ炒め」はどちらが正しいですか?
私は「レバニラ炒め」が正しいと思っています。
こんな問題が発生したとします。
しかし、テーマがしっかりと決まっているため、相手に納得してもらえるよう
説明を考えることに迷いがありません。
さっそく客観的な根拠(事実)集めを開始しましょう。
中華料理である「ニラレバ」とは「韮菜炒牛肝」と表記します。
「韮菜」はニラの事をさしていて
「炒」は炒めるのこと
「牛肝」は牛レバーのことです。
漢字の並び通りに、中国ではニラ→レバの順番となっていることから
「ニラレバ炒め」が正しいことになり、あなたの主張する「レバニラ炒め」は
間違いである可能性が高いようですね。
では、なぜ「レバニラ炒め」と呼ぶようになったのでしょうか。
それは人気アニメ「天才バカボン」に登場するバカボンのパパの
大好物が「レバニラ炒め」と紹介されたことが原因だと考えられます。
国民的人気アニメの影響で多くの人が誤認してしまった事実が
あるようです。
これなら間違えても仕方ないですね。
このように客観的な根拠を集めることで、説得力が向上し
相手を納得させることができます。
やってはいけない悪い例が
「ニラが多い方がニラレバで、レバーが多い方がレバニラじゃない?」
このように問題を表面だけで判断してしまうことです。
表面的な仮説から導き出される解決策も
根本的な解決には役に立たないものになりがちです。
一見まともな仮説のようですが、感覚的なものなので、根拠に説得力がありません。
意識しておこなうことで、問題を表面的にではなく本質的に捉え
大元にある原因を発見しやすくなります。
ステップ4:可能な限り、数字で説明できる道筋を立てる
テーマが決まり、ゴールがはっきりとしたことで、考え始めるスタートがきれました。
客観的な根拠を集めることで、相手も納得してもらえそうです。
ここまできましたがロジカルシンキングには仕上げの作業があります。
仕上げのポイントは「数字で表現」するです。
誰でも同じように納得できる至高の表現力を誇るものは数字だけです。
数字ほど誰でもはっきりと同じように認識できるものは他にありません。
さっそく数字を使った例を紹介します。
どこの飲食店が儲かっていますか?
答えは、〇〇です。
理由は、〇〇です。
このように数字で説明することで、事実を正確に共有することができます。
答えは自ら考えてみましょう!この情報から結論を出すための仮説をたててみましょう。
新しい視点で物事を考えられるようになることは「確実に成長している証拠です!」
どうしてもわからない時は、上司や先輩にたずねてみましょう。
上に立つ人間は、ロジカルシンキングを常中しています。
きっとヒントをくれます。
いかがでしょうか。
ステップ1:テーマを設定する
ステップ2:仮説を立てて、ゴール(結論)から考える
ステップ3:客観的な根拠を集める
ステップ4:可能な限り、数字で説明できる道筋を立てる
これらのステップを意識してロジカルシンキングの実践を行っていきましょう。
どんどん繰り返すことで、徐々に身についていきます。
ロジカルシンキングを身につける6つのメリット
①一生使える
時代に左右されないもっとも基礎的なスキル。
一度覚えてしまえば一生使え、繰り返し役にたち、応用もできます。
ロジカルシンキングは何年も前に広まった考え方ですが
歳月を経ても基本的な方法論はまったく変わることはありません。
②全体が俯瞰できるようになる
問題の全体像が見えるようになります。
多くの人は問題を思いつきでバラバラと議論してしまいがちです。
しかし、ロジカルシンキングを身に着けられれば
本当に重要な「問題の本質」を判断できるようになります。
③捨てる能力が身につく
重要度が判断できるようになると、いらない部分を捨てて
自信をもって重要な部分にだけフォーカスできるようになります。
効率が上がり、時間をむだにしなくなります。
④意思決定のスピードが上がる
一瞬でものごとを判断できるようになります。
判断内容も的確なものとなっていくので
仕事全体の質も上がると言われています。
⑤自分の考えが伝わりやすくなる
論理的に思考できるということは、人と情報共有をする際にも
論理立てた説明ができるということです。
特に介護現場では、感情や感覚的な部分が多い説明よりも
無駄のないロジカルな説明の方が望ましいケースが多々あります
(※特にドクターなどは、ロジカルな説明を好む生き物です)
論理が飛躍したり破綻したりせずに、首尾一貫した話ができれば
相手に自分の考えが伝わりやすくなるでしょう。
ビジネスシーンでは直接話をする場合だけではなく、メールやLINEなどの連絡時にもロジカルシンキングは役立ちます。 論理的に分かりやすい説明ができれば理解や承諾を得やすくなるため、大きな強みになります。
⑥原因特定と問題解決の能力が上がる
ロジカルシンキングでは、原因と結果の因果関係を理解しながら思考を展開します。
この考え方が無意識のうちにできるようになると、何か問題が起こった時に
原因を特定したり、解決策を見つけたりする能力が飛躍的に向上します。
やり方が具体的なので、感覚的なものや感性に頼るものよりも再現性が高いのも特徴です。
ロジカルシンキングは、ポイントを覚えたからといって
今日からできるようになるほど簡単ではありません。
上限もなく、訓練をすることで無限に成長できる思考方法です。
ここからは、ロジカルシンキングを身に着ける方法を解説していきます。
ロジカルシンキングを身につけるための方法
日常的に実践する
ビジネススキルとして必須と言われているロジカルシンキングですが
身につけるためには些細な事でも疑問を持ち、自問自答することが必要
と言われています。
疑問を持つ対象はニュースや社会問題といったお固い内容でも
日常の中のささいなことでも構いません。
気になったことや疑問に思ったことに注目するようにします。
そして自問自答を繰り返しましょう。
意識して結論から話す
結論から話し始め、その後に根拠や具体例、説明などを
入れるようにする方法も有効です。
結論にたどり着くまでに時間がかかると
聞いている側も集中が途切れやすくなるため
結論から話すことで議論の生産性も上がります。
仮説を立てるマンになる
問題の解決策や新しいアイデアを出したいとき
闇雲にあれこれと考えるのではなく、まずは仮説を立ててみてください。
そしてその仮説に向かって根拠を考え、根拠に基づくさまざまな事実を集めて
展開していきましょう。
【上級編】高度なロジカルシンキングができるようになる3つの手法
ロジカルシンキングを大きく分けると3つの考え方から成り立ちます。
1.演繹法
2.帰納法
3.弁証法
この3つの論法を理解することで、各場面においてどれが有効か実践可能になります。
もう漢字が面倒くさい。というか読めない。見たこともない。
村長的にはこの3つの手法は参考程度でよいと思います。
それでも紹介しているのは、身につけることができれば必ず役に立つからです。
役には立ちますが、頭の中がスッキリ整理されることの方が重要なので、難しく感じた人は無理しないでください。
いつかまた読み返す程度で大丈夫だと思います。
1.演繹法
階段を登っていくような論理を積み重ねていく考え方が演繹法です。
よく「建設的な話がしたい」みたいな表現で使われているのがコレですね。
表現の特徴としては
「Aだから、Bである」
というような使い方をしていきます。
誰もが納得できる周知の事実から議論を始めていきます。
複雑なテーマにおいても結論付けることが可能です。
有名なのが古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの3段論法です。
(A)大前提:すべての人間は死すべき定めにある
(B)小前提:私は人間である。
結論:ゆえに私もいつかは死ぬ。
大前提 → 小前提 → 結論 といった具合に展開していきます。
簡単な論法であるためよく使われる手法ですが、その反面、問題点も存在します。
大前提が間違っていることもあるので、場合によっては使えないこともあります。
そういったデメリットもあることを理解してください。
2.帰納法
帰納法は、共通点から結論を導き出すという論法です。
統計分析などにも用いられます。
・果物Aは、甘い味がする。
・果物Bも、甘い味がする。
・果物Cも、甘い味がする。
・果物Dも、…
・結論、どうやらこれらの果物はどれも甘い味がある。
共通項をまとめることによって、事実を導き出し一般化させることが帰納法です。
いかに相手を納得させるかが重要で、そのためにも「数」が重要です。
アンケート集計した際に「1万人に聞きました」と「100人に聞きました」とでは
説得力が違います。
数が少ないと「その結論は正しいのかな?もっと多くのデータを集めた方が・・・。」
というような疑問点が残ってしまいます。
できる限り多い情報を集めることが重要です。
膨大な量のデータがあれば相手を納得させれるため、経営戦略などに用いられることが多いです。
3.弁証法
弁証法とは
「Aの意見」がある一方で「Bという反対意見」がある。
「A」も「B」もお互いに否定しあっている関係ですが
相手の意見を完全否定するのではなく
「お互いのいいところを認め合って」
新しい「Cの意見」を導き出す。
こんな考え方です。
例えば
A:和食が食べたい
B:洋食が食べたい
C:それなら「両方食べられるお店にいこう」
A:私には〇に見える
B:僕には□に見える
C:そうか「これは見る方向で違った形に見えるものだ」
みたいな感じです。
ここで注意したいことは、お互いの意見の一部を認めて保存することであって
妥協をくり返すということではありません。
否定に否定を重ね論理的に組み合わせていくことで
より良い結論を導き出すための手法です。
介護現場ではチーム内でディスカッションをする際などに
活用できるのではないでしょうか。
ロジカルシンキングの問題点
ロジカルシンキングは、まずは自分の頭の中を整理するために活用するのが
よいでしょう。
仕事の生産性を上げるためにコミュニケーションの場面でも活用されていますが
ロジカルシンキングに頼りすぎることで逆に人間関係が悪くなるリスクもあります。
理論と感情の対立
ロジカルシンキングにおいてコミュニケーションを図る場合
相手の理解度に合わせてプレゼンテーションを行う必要があります。
論理は正しいけれども、相手が理解できなかった場合
情報伝達という観点から考えると失敗に終わります。
また人は論理だけで動くことはなく、情緒的な部分や感情的な観点から伝わる
情報も大切にしているため、理論的な言動は冷たく感じ取られてしまい
関係が悪化してしまうリスクもあるのです。
「前提」が変われば結論も変わる
前提としている事実やルールが変われば、自ずと正解も変わります。
つまり、事実であると考えていた情報が誤ったものであったり
思い込みによって誤ったルールを用いたりしていた場合
誤った結論が導き出されてしまうわけです。
また、現在は普遍的な事実として知られていることでも
未来はどうなるか分かりません。
前提としている事実が変化することもあるため、注意が必要です。
裏付けとなるデータは絶対ではない
帰納法のように、さまざまな根拠から結論を導くときには
情報収集が論理を固める最重要要素です。
そのため、初期段階で得られたデータとは異なる内容のデータが
後から出てくることがあれば、導き出される結論も変わることがあります。
初めはAが結論だと思っていても、さらに集めていくと実はBが結論かもしれない
と考えるようになる可能性は十分にあるのです。
より普遍的で客観的な結論を導けるように、事実は無数に存在することを
覚えておきましょう。
論理を展開する「軸」は1つではない
ロジカルシンキングでは、視点によって論理展開や結論が異なるケースがあります。
自分の視点にとらわれず、さまざまな視点があることを理解しておくと
考え方の幅が広がるでしょう。
例えば 「毎月の売上を月ごとに比較したデータ」があるとします。
ここでは「月ごとに比較」しているため、1つの軸で考えています。
それでは「前年比」を加えてみるとどうでしょうか。
新たな軸が加わったことで、データの見方がかわります。
さらに「季節毎に比較する」要素を追加の軸として加えることで
四季にも目がいきます。
このように、論理を展開する上での軸(視点)は1つよりも複数の方が
正確な結論に近づく可能性が上がります。
最後に
ロジカルシンキングは実務でも日常生活でも大変役に立つ思考法の1つです。
ポイントをおさえて繰り返し練習することで誰でも身につけることができます。
そういえば先週、職場のスタッフから以下の相談を受けました。
「あそこの管理者は結果や結論ばかり聞いてきて、私たちの相談は何も聞いてくれません!どうにか指導してやってください!」
まさに、ロジカルシンキングの問題点で解説した「理論と感情の対立」です。
リーダー職たちの多くは皆このロジカルシンキングを活用して仕事をするよう
日常的に訓練しています。
それゆえに、現場スタッフからみると理屈っぽく、さめていて情が薄いように
感じられてしまうデメリットがあります。
逆に現場スタッフはご利用者思いの情熱家が多く、どちらかというと感情的な言動が
多いように感じられます。
しかし感情的な側面だけを尊重してしまうと問題解決がなかなか上手く進まない
デメリットがあります。
ここで捉えておきたい問題の本質は「どちらが正しい、悪い」など
ジャッチすることではなく
立場や考え方の違いがあることを認識しつつ
お互いが理解しあって歩み寄ることだったり
今まで役割の違いを確認する作業が不足していることだったり
その他、どうしてそのようなトラブルに発展したのかを再確認することなど
「いま何をしたらよいか」と考える視点の転換ではないでしょうか。
より良い職場環境が構築されるためにロジカルに考えていきたいものですね。
改善するために行う具体的な方法は・・・。
AだからBで、Cになって・・・。
それではまた!