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みなさんは「シングルタスク」や「マルチタスク」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。
シングルタスクとは
課せられた課題を1つずつ処理していく仕事術のことです。
マルチタスクとは
課せられた課題を複数同時に処理していく仕事術のことです。
一見して効率良く仕事ができるように見えるのはマルチタスクです。
マルチタスクは「仕事ができる人」の象徴的スキルでした。
しかし近年では1つの仕事に一点集中するシングルタスクが注目を集めています。
理由は「マルチタスクは生産性が低下する」といった結果が発表されたからです。
「シングルタスクの方が優れているからマルチタスクはオワコン」みたいな極端な解釈には注意が必要です。これからその理由を説明していきますね。
今回のテーマは「タスクの切り替えを意識して生産性をアップする」です。
・仕事がなかなか終わらないと悩んでいる方
・最近ミスや抜けが多くて凹んでいる方
・たくさんの仕事を抱えてストレスがたまっている方
こんな人にぜひ読んでみてほしい内容になっています。
マルチタスクの方が生産性が低い理由
シングルタスクと比較されるマルチタスク。
巷では「マルチタスクはデメリットが多い」との論調になっていますが、実際のところはどうでしょうか。
複数の仕事を同時進行しているため多くの仕事を処理できそうなイメージのマルチタスク。
どこに弱点があるのか、代表的な理由を2つ紹介します。
マルチタスクの弱点:その1
そもそも人間の脳はマルチタスクに向いていません。
理由は、人間のワーキングメモリー(作業記憶)は決して多くはないからです。
どんなに記憶力のよい人であっても、複数の仕事を同時進行していることで
・ミスが増える
・集中力が低下する
・注意力が散漫になる
などのデメリットが発生します。
複数の仕事を同時進行している状態は
集中力を向ける先を交互に変えているだけであって、実際は1つの物事しか処理していません。
このため、どの仕事も中途半端になってしまいミスが増えるなどの悪影響が出てしまうのです。
マルチタスクの弱点:その2
タスクの切り替えが多いほど生産性が低下してしまう。
同時に同じ事をやっている性質上
仕事(タスク)と仕事(タスク)の切り替えの回数が多いほど、生産性が下がってしまいます。
タスクをちょいちょい変えている人ほど仕事が早そうだし、仕事ができる人にみえますが、実際には見えているだけです。
たとえば
「5つの仕事を処理しないといけない」といった課題が目の前にあるとします
これをマルチタスクとシングルタスクで比較すると
シングルタスカー
1個目を終わらせてから、2個目、3個目と1つ1つ仕事をすすめる
マルチタスカー
1個目少しやって、3個目少しやって、2個目少しやって・・・。と複数同時に仕事をすすめる
出勤して退社するまでに「いくつの仕事を終わらせたか」といった「実際の成果物の有無」で考えてみると
タスクの切り替えがおおいほど「仕事がいつまでも終わっていない」といった状況に陥っていたことに気づくと思います。
ポイントは
いくつ仕事を進行しているか
ではなく
いくつ仕事を終わらせたか
が重要となってくるのです。
お互いに邪魔をしないタスクの組み合わせはOK
タスクを組み合わせた方が効率の良いケースを紹介します。
介護の現場ではタスクを組み合わせる場面がかなり多いです。
たとえば
・申し送り中にメモを取る
・散歩をしながら下肢筋力の強化を図る
などです。
また「入浴介助中に気になった皮膚状態の詳細をメモしておく」などの
あることを連続して行っている最中に関係する短いタスクが差し込まれるケースもあります。
マルチタスクのデメリットとして集中力が切れてしまうことが挙げられていますが、このように関連性が高く、集中力が切れないタスクの切り替えは問題ありません。
効率的なタスクの組み合わせを意識する
介護の現場では「効率的なタスクの組み合わせ」をあらかじめ考えておいて、事前にチーム内で共有することが改善につながる場合があります。
「効率的」なタスクの組み合わせの代表例として
特に何も考えなくてできるようなただの作業だったら組み合わせても大丈夫です。
特に集中力が低下することもない単純な作業になります。
たとえば
・ご利用者とお話をしながら洗濯物をたたむ
・食事作りをしながら見守りをする
などはいくら組み合わせても集中力が低下することはありません。
「非効率」なタスクの組み合わせの代表例として
重要な仕事をしている時にはマルチタスクは不向きです。
高い集中力を維持しないといけない複雑な作業中です。
たとえば
・車の運転中にスマホを操作する
・重要な会議中にLINEやメールを確認する
・契約時に着信があり、対応に移る
などです。
言うまでもなく、車の運転という重要な仕事をしているときに
スマホを操作しているとどのようなリスクがあるか想像がつくと思います。
同じように会議や契約中に別の「気が散る」作業を行ってしまうことで
「本当に重要な部分」を聞き逃したりするリスクを抱えています。
多くの場合、重大なトラブルにつながってしまう恐れがあるため、目の前の重要な仕事に向き合っている時にはマルチタスクはおすすめできません。
タスクを切り替えるときに意識しておきたいこと
ポイントは
「シングルタスク」と「マルチタスク」を上手く使い分ける
という考え方です。
シングルタスクの方が生産性が高い事実から、1つのタスクに全集中する方が「終わらせられる仕事の量が増えて、いつまでも仕事が終わらない」といった状況を改善できます。
しかし、どうしてもタスクを切り替えないといけない場面は多く存在します。
介護の現場では、優先順位が変更した際にタスクの切り替えを余儀なくされることがあるからです。
例えば食事介助の場面では
1人のご利用者の食事介助を済ませるといったシングルタスクを実行しているはずです(※ここでは見守りなどはタスクに含まないことにします)
しかし、転倒リスクのある別のご利用者が立ち上がったりすると、優先順位の変更を余儀なくされます。
ここで意識しておきたいことは
「シングルタスク」が一番生産性が高い状態であることを念頭において
いま、自分がなんの仕事をホールド(中断)して他のタスクに移ったのかをしっかりと記憶しておくことが重要です。
人間のワーキングメモリー(作業記憶)は決して多くはないので
何の仕事をホールド(中断)したのかわからなくならないように「メモ」を活用する手段もおすすめです。
メモを取ることで「うっかりミス」の予防にもなるし、忘れないようにずっと記憶を留めておく必要がないので脳への負担も軽減されます。つまり、疲れにくくなります。
最期に
色々やらないといけない仕事があるのであれば
なおさら1つ1つ終わらせていかなければなりません。
1つずつ集中して仕事に取り組むことで、結果的に多くの仕事を終わらせることが
できることにつながります。
あれこれ手を出して、どれも集中できない環境を自分で作りだしてしまうことがよくないのです。
また、ひとつのことに集中するといったシングルタスクの考え方は仕事以外にもメリットがあります。
たとえば
何かを学ぼうとする時だったり、何かを成し遂げようとする時などです。
何かを学ぶとき、何かを成し遂げようとするときは高い集中力が求められます。
自分の能力や限られた持ち時間を1つの事に注ぎ込める利点や
様々な誘惑に影響されないメンタルを作ることができるからです。
様々なメリットがある一点集中のシングルタスクは以下を意識しましょう。
・マルチタクスの弱点を理解し
・効率的な組み合わせを意識し
・タスクの切り替えを上手におこなう
習得することで「仕事のミスや抜けがなくなったり、終わらない仕事のストレスから解放される」期待がもてます。
誰かのお役に立てれば幸いです。
それではまた!