こんにちは、村長のすももです。
介護村アカデミーは、介護士向けにビジネススキルを紹介するサイトです。
実践的でわかりやすく、シンプルをモットーに日々の業務で役立つ情報を発信しています。
ブログ更新のお知らせが届く「Twitter」、何でも相談ができる「LINE」もやっています。
どうぞ気軽にご利用ください。 すもも
あなたが
・良い職場を作りたい
・良いチームを作りたい
・活気のある会議にしたい
・前向きな意見が出るようにしたい
・みんなの意見をシンプルにまとめたい
などと悩んでいるのであれば、この記事にそのヒントがあります。
どんな立場の人も、その人なりに一生懸命働いています。
しかし、上手くいく人と上手くいかない人がいます。違いはなんでしょうか。
その答えのひとつが、ファシリテーションスキルです。
ファシリテーションスキルを身につけた人の周りには、自然と人が集まります。
ビジネススキルの中でも難易度は高く、習得には困難を極めます。
しかし、千里の道も一歩からです。
この記事を読み始めた時からあなたのレベルアップは始まっています。
この記事で学べること
・ファシリテーションの入門級知識!
ファシリテーションとは
ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。
(参考資料:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)
そんなファシリテーションには以下のようなメリットがあります。
・納得できる合意形成の実現
・会議やプロジェクトなどの効率化と労働力の負担軽減
・革新的なアイデアの創出
・参加者のモチベーションアップ
成果を出すことだけが目的ではなく、あくまで動きやすいようにチーム力を促進させることに重きをおきます。
まさに、多様な価値観が飛び交う介護現場に必要なスキルといっても過言ではないでしょう。
ファシリテーションでやること 「引き出す」
アイデア、意欲、やる気、モチベーションといったポジティブなものから、愚痴や不満、批判などのネガティブなものまで、引き出すものはさまざまです。
目的・目標に見合った意見ばかりを拾い集めようとしてはいけません。
活発なコミュニケーションは生まれず、チーム力を促進させるどころか、自由に意見もできないギクシャクしたものとなってしまいます。
ネガティブな意見というのは、問題の本質が隠れていることがあります。
チームに必要な意見かもしれない。といった視点で引き出してみましょう。
意見をどんどん引き出すコツ
メンバーから意見を引き出すためには「質問力」が大切です。ここでは、質問スキルを磨いておきましょう。
①ポジティブな言葉を使う(ポジティブな言葉に変換する)
人は聞かれたことを聞かれた通りに考える習慣があります。
たとえば
「何で上手くいかないの?」
と聞かれれば「上手くいかなかった理由」を考えだします。
しかし
「どうすれば上手くいくと思いますか?」
と聞かれれば「どうすれば上手くいくか」を考えだします。
相手からどのような意見を引き出すかは質問力に大きく影響しているのです。
つまり、ポジティブな言葉を使うことを意識し、表現にひと工夫することで、メンバーから前向きな思考を引き出します。
②相手のことを考えて質問する
自分が知りたいことを聞くだけの「事情聴取型」は絶対にやってはいけません。
相手の思考を促し、視点を広げて、新しい気づきや行動を引き出すことで成長させる「相手のことを考えての質問」が必要です。
具体的に以下のような質問方法があります。
【Yes or No で答えられる質問】
はい。いいえ。で答えられる簡単な質問です。相手の意思を確認したいときなどに使います。
【どれか選んで答えられる質問】
決められた選択肢の中から自由に選んで回答できる質問です。ある程度話がまとまり、出た意見を取捨選択する時などに使います。
【限定的な質問】
いつ、どこで、誰がなど、答える範囲が限定される質問です。条件を絞って相手に考えてほしいときに使います。
【自由回答できる質問】
範囲や発想を限定せずに自由に答えてもらう質問です。相手に広く考えてもらいたい時に使います。
③シンプルに質問する
定番の質問は、こんな感じです。
・具体的に言うと?
・つまり、〇〇ということでしょうか?
・一番の気がかり(課題)な事はなんでしょうか?
・放っておく(何もしない)とどうなりますか?
・改善を妨げているものは何ですか?
・困っている(大変な)のは、スタッフでしょうか?それともご利用者でしょうか?
ぜひ、参考にしてみてください。
ファシリテーションでやること 「まとめる」
引き出した後は、まとめます。
ポジティブな意見やネガティブな意見、話から脱線してしまった意見と様々なものが集まります。
それらの意見を1つの塊にすること。そして、チームの意志を一致させることを意識します。
そのためには
みんなの意見を見える化することが重要です。
具体的には、ホワイトボードのように、みんなが同じものを見れる工夫がおすすめです。
自分や他人の意見やアイデアがリアルタイムでホワイトボード上に書き出されていきます。
同じ情報を共有できることで一体感が生まれ、皆が上を向き、チーム全体で話し合える環境が作り出せる。というメリットがあります。
話をまとめるコツ
引き出した意見をまとめるには「要約力」が大切です。ここでは、要約スキルを磨いておきましょう。
①相手が何を知りたいのか、相手を思いやる気持ちが大切
ビジネスの場面では、時間はとても貴重です。
意識してみると様々な人たちと時間を共有していることに気づくことができます。
【対外的なやりとりをする場面】
医療機関のドクター、ソーシャルワーカー、ナース、ケアマネジャー、家族など。
【対内的なやりとりをする場面】
同僚、先輩、上司など。
介護士も忙しいですが、みんなも忙しく働いています。
その限られた時間のなかで、相手が必要とする情報だけをどれだけ端的にかつ正確に伝えることができるかが重要となってきます。
このように、相手を思いやり、何を知りたがっているのかを意識することで、はじめて私たちは要約しよう。と思い立つわけです。
②必要な情報と、要らない情報を見極める
要約とは、文章や話の要点を短くまとめることです。
余分な情報を削ぎ落し、話をできるだけ簡潔にまとめることが求められます。
となるとまずは
必要な情報と要らない情報の見極めや、言葉の優先順位のつけ方が重要になります。
・何について話しているか?話の「話題」について考える
・その話は何をメッセージしたいのか?「結論」について考える
話題と結論(テーマと結果)。
これらを常に意識することで、情報の見極め力が養われます。
③5W1Hを意識する
誰かに物事を説明するとき、5W1Hが役に立ちます。
わかりやすく説明できると言うことは、わかりやすくまとめることもできます。
5W1H は、When(いつ)、Who(誰が)、Where(どこで)、What(何を)、Why(なぜ)、How(どのように)の頭文字をとったものです。
たとえば
今日の出来事のポイントをまとめてみてください。それを誰か(自分でもOK)に言ってみる。それで相手がどの程度話を理解できるかが、今のあなたの要約力です。
話した相手から「どういうことですか?」「つまり、〇〇ですか?」「誰のお話ですか?」「何でそうなったのですか?」等々、質問される分だけ自分が要約できていない証拠になります。
こういった場合は要約力が低い可能性があります。注意しましょう。
今日の出来事でなくても、漫画、映画、テレビ、ニュースなど何でもいいです。結局は日常的に使い続けていくことで身に付きます。日常的に使い続けないと身に付きません。
最初は意識しないとできなかったことが、最後は意識しないでできるようになります。
不満や不安、反発感をもった人に納得してもらう方法
意見を引き出しまとめたくても、日ごろからコミュニケーションがとれていない、仲が悪い者同士が集まることだってあり得ます。
いくらファシリテーションスキルが高いからといって、1回の会議でまとめあげようなんてことは土台無理な話です。
結局のところ、人間関係が最重要なのです。
とはいえ話し合いをするとなると、これからやることを納得してもらわないといけません。
そんな時は話し合いをする前の説明がとても大切です。
まず、前提として
・不平不満を聞くことが話し合いの目的ではないことをちゃんと伝えてください
(※不平不満があるなら、それを聞く場は後で設けることも伝えておく)
・そして、話し合いの目的は、問題や課題に対して、今より少しでも良くしていきたいといった思いを伝えてください。
そのために現場の意見をください。といった「教えてくださいスタイル」で相手の言い分を聞き出します。
何かを始めるとき「よし、やろう!」とならない理由と対策 -ネガティブ意見の受け止め方 編-
何か新しいプロジェクトや改善を実施するとき、ほとんどの場合は「いいですね!ぜひやろう!^^」とはなりません。
これは立場が違えば、言い分もかわるから当然だといえます。
たとえば
と思っていても
こんな状況じゃ協力体制がとれるわけありません。
現場からすれば休憩もとれないくらいがんばって働いているのに、急な案件でいつも振り回される!
このような不満に目をつぶって、この先何が良くなっていくのでしょうか。
そのようなことでは、ファシリテーションスキルは身につけることはできません。
現場の人の不満や不安、愚痴といった「意見」は
聞き方次第では前向きな改善提案にもなり、今より良い未来に向けての貴重な意見となり得るからです。
この事実に気づいていないリーダーは本当に多いです。
ネガティブ意見は、つまりそれを解消さえできればやれる。ということに直結しています。
どちらかに加担してしまうと、立場の違う側から「どうせ自分たちの意見は聞き入れてくれないんだろ」と思われてしまい、結局はチーム力が低下してしまうことになってしまいます。注意しましょう。
何かを始めるとき「よし、やろう!」とならない理由と対策 -テーマの選び方 編-
会議をひらくにあたって、その会議には必ず目的があります。
掲げた目標達成のために「皆には○○してほしい」といった事は会議の前から決まっているわけです。
しかし、自分の希望を聞いてもらいたいがために、目的とは異なった意見を受け付けない姿勢をとってしまうと、全てが台無しになってしまいます。
チームの協力が得れなくなり、結局自分1人でやらないといけなくなる恐れがあります。
そうなってしまえば
なんでこんなことになってしまったんだろう。とモチベーションも下がってしまいますよね。
ここで注意したことは
自分の思惑が透けてみえている。ことを自覚することです。
たとえば
Aユニットの業務負担を減らすために
なんて話し合いのテーマを書いていたらどうでしょうか。
別ユニットの職員からは、Aユニットの業務負担を減らすために私たちに何かしてほしいのだろう。
と勘ぐってしまいますよね。
どちらか一方の利害のために話し合いを開催しているようなもので、ファシリテーターとしては、中立の姿勢が保てていないことになってしまいます。
これでは最初から失敗してしまいます。
このようなケースを改善する手段として
テーマを変更してみる。
といった手法があります。
たとえば
働きやすい職場つくりのために、業務負担を見直す
といったテーマだとどうでしょうか。
これなら、皆にメリットがありそうですよね。
このように、テーマから発案者の意図に反発をもつ人もいるということを理解しておきましょう。
何かを始めるとき「よし、やろう!」とならない理由と対策 -脱線した意見の処理 編-
どんな話し合いでも脱線はつきものです。
そんな脱線にはきちんと処理の仕方があります。
それは
・その他の意見
・参考意見
・残された課題
などといった本来の目的とは脱線した意見もしっかりと書き留めておくことが大切です。
必ず一旦は脱線する人の意見も「なるほど」と受け止めることが重要です。
さらにしっかりと書きとめ、見える化しておくことで、脱線意見を出した人も「意見を聞いてもらえた」「理解はしてもらえた」と思うことができます。
何かを始めるとき「よし、やろう!」とならない理由と対策 -会議が嫌いな人へのアプローチ 編-
そもそも会議が嫌い。という人は多いのではないでしょうか。
その理由は
【会議が嫌いな理由】
・長い
・意見がでない
・結論がでない
といった理由が多いようです。
せっかく多くの人が時間を割いて集まっているというのに、とてももったいないですよね。
どうせなら「やってよかった」と思えるような意義ある会議にしたいものです。
何をすればか解決するのか、答えは既にでています。
【時間をむだにしない、意義のある会議にする】
・時間通りに終わる
・意見を活発に出す
・何らかの結論がでる
こんな会議にするための方法があります。
それは
・テーマとルールを周知する
・終了時間を伝えておく
・ホワイトボードを活用する
・成果が出なかったことを成果とする
です。
テーマとルールを周知する
会議のテーマを伝え「何について話し合いたいのか」の方向性を示します。
これを行うことで、的外れな意見が出たとしても「本日のテーマから少しそれているので、別の機会に検討しましょう」と脱線を防止できたりします。
また、個人攻撃はNG、反対意見は理由も添えて、どんな意見も歓迎する。といったルールも伝えておきましょう。
会議の前や、会議が始まってすぐに「事前に伝えておく」ことがポイントです。
方向性を統一したり、前向きな意見を抽出したりすることができます。
終了時間を伝えておく
あらかじめ「会議の終了は○○時です」とアナウンスすることからはじめてください。
決められた時間内に有効な意見を述べようと努力する人が現れてきます。
一番よくないのは、いつ終わるかわからない。ということ。
ダラダラと活気のない会議では良い意見が出るはずがありません。
もう少し話したかったかも。くらいがちょうどいいです。
繰り返すことで、時間内で終わろうと努力する人も出てきます。
ホワイトボードを活用する
「議事録を残さず、共通認識を残す」ことが狙いです。
会議は、議事録を作るためにやっているのではありません。
テーマに沿って意見や情報を共有し、これからやることの共通認識を与えることが目的です。
つまり
共通認識ができなければ、会議の成果はゼロだったと言えます。
ホワイトボードは「皆が同じものを見る」ことで情報共有や共通認識が生まれやすくなります。無駄に議事録を作らなくても、ホワイトボード上に書き出されていることが記録です。
また、脱線した意見も「脱線用意見スペース」に書くことで、全員参加型の会議にすることができます。
会議で発言することが苦手な人も、発言した内容をひろってもらえることで、自信につながります。
中にはテーマとは関係ない意見を述べる人もいますが、それはそれで大切な意見として処理することが大切なのです。
成果がでなかったことを成果とする
いろいろ話し合ったけど、何もきまらなかった。
こんな経験はないでしょうか。
たとえ成果がでなかったことも、ポジティブに考えていきましょう。
会議で結論がでなかった。
ということは
結論がでなかった理由について考えるきっかけになった。
ということです。
このようなポジティブな視点を会議メンバーと共有することで、次回から結論を出すための工夫を開始することができます。
最後に
学習の4段階という言葉があります。
ステップ1:知らない(無意識的にできない)
ステップ2:知っているができない(意識的にできない)
ステップ3:意識的にできる(意識していればできる)
ステップ4:無意識的にできる(無意識にできる)
介護スキルでもビジネススキルでも
何かをできる人というのは例外なく学習の4段階ステップをふんでいます。
この記事でファシリテーションを始めて知った。という人はすでにステップ2まではきているということになります。
意識していれば、いつか必ず出来るようになります。
【ファシリテーション】で検索すると
ユーチューブで分かりやすく解説している動画も多数あります。
具体的な事例を紹介している書籍やサイトも多数あります。
いまは無料で学べる環境があるので本当にありがたいですね。
誰かのお役に立てれば幸いです。
それではまた!