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よく「転職(就職)に失敗した」という相談を受けることがあります。
失敗する原因はいくつか考えられますが、今の会社で働くのがいやになって色々と悩んだ末、苦労して次の職場を探したことだろうと思います。
そんな努力が失敗に終わるのは悔しかったり、切なかったりしますよね。
日本にはキャリアアップを目指して転職を繰り返す、いわゆる「ジョブホッパー」のような概念は少なく、まだまだ1つの職場で長く働く終身雇用の感覚が抜けきっていません。
職場を辞めることや、転職すること自体を悪ととらえる時代錯誤の法人があることも事実でしょう。
そんな背景がより転職を失敗させやすい環境を作りだしています。
やっと見つけた安住の地で待っているのは「聞いた話と違う」といった後悔の念です。
どうしてこのような悲劇が起こってしまうのでしょうか。
今回のテーマは「転職(就職)がうまくいかない理由と対策」です。
今の職場を続けようか悩んでいる人、転職しようと考えている人の参考になればと思い記事を書きました。ぜひ最後まで読んでください。
この記事で学べること
・転職(就職)が失敗する理由がわかる
・転職(就職)を成功させるコツがわかる
近年の転職市場の様子
最初に、近年の転職市場の動向をみてみましょう。
転職市場をみる指標として「有効求人倍率」があります。
有効求人倍率とは
企業からの求人数をハローワークに登録している求職者の数で割った値のこと。
求職者1人に対して、何人分の求人が来ているかを示しています。
令和元年度の平均の有効求人倍率は、1.6倍でした。前年度の1.61倍より低下しています。
ちなみに、有効求人倍率が1を上回っていれば、求職者に対して求人の方が多く、働き口が十分にある状況と言えます。
逆に有効求人倍率が1未満であれば、求職者に対して求人数が足りず、働き口が不足しているということです。
人に困っていない事業所など皆無、といっても過言ではありません。
介護事業所側は、喉から手が出るほど介護職員(特に介護福祉士)を欲しがっています。
(資料元:厚生労働省「一般職業紹介状況」)
上のグラフでは、全産業平均の有効求人倍率と、介護サービス業の有効求人倍率の推移を表しています。
最新の数値では、介護業界の有効求人倍率は3.82倍となっています。
この背景には、新型コロナウイルスによる雇用市場の悪化により
・求職者が他業界から介護業界に流れてきた
・業界内の転職意欲が下がり、離職率が低下した
・会社の業績悪化・事業縮小のため、新規求人が減少した
といった要因が考えられます。
介護の労働力市場は未だに高倍率で推移しており、完全に「売り手」市場だということ。
つまり、働く側にとっては圧倒的に有利な状況であるといえます。
それなにになぜ、転職(就職)に失敗してしまうのでしょう。
次項から、具体的な理由を解説していきます。
【失敗の原因1】転職(就職)先を「自分の都合で安易に決めすぎている」
転職に失敗してしまっている原因の1つに「安易に決めてしまっている」ことがあげられます。
たとえば
・自宅から近いから
・労働条件が希望とあいそうだから
このように、重要な雇用条件をしっかりと確認せずに、自分の都合で安易に決めていないでしょうか。
この原因を根拠付ける興味深いデータがあります。
(労働者が現在の法人(職場)に就職した理由(労働者調査))
1.通勤が便利だから
2.資格・技能が活かせるから
3.やりたい職種・仕事内容だから
4.働きがいのある仕事だと思ったから
5.労働日・労働時間が希望とあっているから
6.人や社会の役に立ちたいから
現在の法人に就職した理由の「上位1~6位」が労働者自身の都合で職場を選んでいる事実があるのです。
それに対して
職場をやめた理由をみてみましょう。
(労働者が介護関係の仕事をやめた理由 男女別(労働者調査))
1.自分の将来の見込みが立たなかったため
2.職場の人間関係に問題があったため
3.法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があったため
4.他に良い仕事・職場があったから
5.収入が少なかったため
なんと、介護関係の仕事をやめた理由「上位1~5位」までが、職場に関する理由になっています。
考えられる原因の1つとして
面接時に給与や賞与、処遇改善手当、残業や休日等の労務環境の確認不足があります。
お金のことや、会社の内情を根掘り葉掘り聞いてしまうと、悪い印象をもたれてしまうのではないか。
日本人の良くも悪くもある部分です。
十分な確認をしないまま入職を決めてしまった結果、入社後に「言った・言わない」のトラブルへ発展し「こんなはずじゃなかった」と後悔や不満を募らせて辞めてしまう。そんなパターンがとても多いです。
つまり、入社する前に「お金のことや、会社の内情を根掘り葉掘り聞いていれば」このような残念な結末を防ぐことができたはずです。
【失敗の原因2】介護サービスの種類が多すぎて選べない
自分は訪問介護しか経験したことがないので、別の事業所も経験したい。
とキャリア形成のために転職を考える人もいます。
さきほどのデータからも、特に男性は「自分の将来に見込みが立てないから」
といった理由で転職を考えています。
しかし、これまで経験のある事業所のことはよくわかるのですが、介護サービスは多種多様です。
特養、老健、グループホーム、有料老人ホーム、サ高住、デイに訪問介護や小規模多機能、居宅介護支援事業所、定期巡回型・・・
もう、わけがわかりません。
さらに、運営する法人の母体も、社会福祉法人から、医療法人、株式会社や有限会社、NPO法人、宗教法人と千差万別です。
「もう、何がなんだか分からない!」というのが正直なところではないでしょうか。
介護だからどこに行っても「やることは同じ」と言う人もいますが、それは基本的な身体介護や、人としての1日の流れが概ね同じ。ということであって、違うところはいくつもあります。
また、介護という「業界」に入職するという感覚が強い人も多いです。
法人や施設によって理念や運営方針もそれぞれです。これだけの違いがあるという事実を知らずに転職活動をしています。
実際に「本当にヒドイ法人」は数多く存在しています。
【失敗の原因3】転職に慣れている人(相談できる人)が身近にいない
どうやって転職先を探したらいいのか分からず、結果として安易な決め方になってしまいます。
直近5年間の日本の転職率の推移を見ていきましょう。総務省統計局の労働力調査によると転職率の推移は次のとおりです。
転職率の推移(2015年~2019年)
年度 | 転職率(%) |
2015 | 4.7 |
2016 | 4.8 |
2017 | 4.8 |
2018 | 4.9 |
2019 | 5.2 |
(総務省統計局「労働力調査」(令和2年2月付)より転職者比率を抜粋)
2010年までさかのぼってみても、転職率にさほど大きな変動はありませんでした。
しかし、直近5年間の転職率は緩やかに上昇傾向にあります。
2019年度はやや上昇率が高くなっているようです。
転職離職者の離職理由に注目してみると、会社都合の理由や収入・勤務時間などの労働条件や職場の人間関係、仕事内容などの個人的な理由を挙げる人が増加しています。
これは、自己実現のためにワークライフバランスを見直すた転職が増えていると推測できます。
男性の転職率の推移(2015年~2019年)
年 | 転職率(%) |
2015 | 3.9 |
2016 | 4.0 |
2017 | 4.0 |
2018 | 4.1 |
2019 | 4.4 |
女性の転職率の推移(2015年~2019年)
年 | 転職率(%) |
2015 | 5.7 |
2016 | 5.8 |
2017 | 5.7 |
2018 | 6.0 |
2019 | 6.2 |
女性の方が総じて2%近くも転職率が高くなっています。これは女性の方が非正規雇用の割合が高く、男性と比べて働き方がより流動的であることが原因です。
派遣社員や契約社員などの非正規の雇用形態は期間が制限されていることがほとんどで、転職のスパンが短くなってしまうことが女性の転職率を上げる大きな要因だと考えられます。
また、転職者の内訳を見てみると、「非正規から非正規への転職が圧倒的に多い」という事実があります。
つまり
非正規労働者が正社員への転職を希望しても、実現は難しい傾向にあることが分かります。
ただし、前述の「労働力調査」では、非正規の仕事についた理由として「自分の都合の良い時間に働きたいから」と答える人が、「正規雇用の仕事がないから」と答える人よりもやや多くなって来ているという現状も明らかに。
柔軟な働き方を求め、副業などを行う人が増えたことも背景にあると考えられます。
「今は動く時期ではないな」と思うなら、自分のやりたいことや得意分野などを見つめ直すのもよいでしょう。
転職には、準備が大切です。転職を決意したらスケジュールなどの計画を立て、後悔のないようにしましょう。
【失敗の原因4】入職後のフォローアップ体制がない
転職活動は、就職先が決まれば終わりではありません。
忘れてはいけないのが「入職後のフォローアップ体制が整っているか」です。
介護だけに限らず、人間関係で悩み職場を辞めてしまう人は本当に多いです。
しかもその内容は
経営者や管理者など上司に対する悩みや不安が最も多いことがわかっています。
これは、経営者や管理者の理念や方針の差です。
施設や法人のトップの考え方や方針・理念などによって、各施設の性格は全く違うものになります。
文字通り、天と地ほどの差が存在します。介護施設はピンキリなのです。
相談窓口などの入職後のフォローアップが整っていない職場は多いです。
たとえば、以下のような求人内容は誰しも見たことがあるのではないでしょうか。
・みんな仲良し。チームワークのある職場です。
・人に優しく、楽しく働ける職場です。
・やりがいがある職場です。
これらは大変耳当たりがよいのですが、冷静に考えてみると残念なポイントが3つあります。
1.抽象的でなにもわからない。
2.会社の価値観で言っている。
3.リーダーやスタッフが変われば、いつでも変化する曖昧な定義。
残念ですが、これらの求人広告を出している会社はブラック企業である確率が高いと思います。ブラック企業であるという自覚そのものがない会社も存在します。
ここで思い出してほしいのが、会社をやめた理由の上位を占めていた項目です。
上位1~5位が、職場に関する理由でした。
つまり
労働環境の内容が書かれている求人広告の方が、転職したい人に対して丁寧な対応をしているといえます。
たとえば
・教育体制がしっかりしている
・高い成果を上げた場合は、若い人でも高い評価をもらえる制度がある
・厳しい環境でも成果を上げれる人には、それなりの報酬が支払われている
・人間関係を相談できる窓口がある
このようなことが書かれていると、面接の時にも質問しやすいし、組織的に強い会社だろうと期待がもてます。
ただし、これらの内容は面接の時に面と向かって聞きにくいといった特徴があります。
次項では、これらの対策について解説していきます。
転職を失敗しないために面接時に確認しておきたいこと
まずは、待遇面です。
次に、働きやすい職場環境かどうかです。
そして最後は、経営トップの方針や考え方に共感できるかです。
これらの内容は、求人広告やホームページを見たり、面接に行って担当者と少し話すだけではわかりません。
待遇面の対策
村長の経験上、介護士の多くは、面接や職場見学の場で給料等の条件を確認しようとする傾向にあります。
しかし、面接の段階では良い心象を与えたいといった心情が発生するため、聞きにくいです。金銭的な条件などは特に聞きづらいと思います。
しかし、聞いてください(ここは念を押して伝えておきます。聞いてください。)
理由は、その時の採用担当者の対応次第で、法人の内情が良くわかってしまうからです。
本当に求職者の立場になって考えてくれるホワイト企業は、自分の会社に興味を持って足を運んでくれた人の「不安なところ」を丁寧に応えてくれます。
その姿勢が見えない場合は、期待が持てません。諦めてください。
採用担当者とは人事権を持っている場合が多いです。もっていなかったとしても、それに近い力をもっている会社の上層部です。つまり、経営層の1人です。会社の顔です。
そんな人物が丁寧な応対を欠いているという事実は決して見逃してはいけません。
また、確認しる具体的な内容は
・給与(基本的なお給料)
・資格、職務手当(様々な手当の詳細)
・賞与(頑張ったらちゃんと評価してくれるのか)
・処遇改善手当や特定処遇改善手当(処遇改善加算の実行計画の詳細、従業員にどのように還元されているか)
・人事考課システム(なにをもって成果としているのか、具体的な評価の内容)
・キャリアアップ(昇格や資格に応じた活躍の場があるか)
働きやすい職場環境
職場環境と言ってもいろいろあります。
できれば家から近い方がいいし、夜勤時もオンコールではなく、看護師が常駐している方が安心できます。
しかし、ここで言う職場環境とは「職員の配置」のことです。
職員の配置というのは、入居者と職員(介護・看護)の人数の比率のことです。
「3対1」とか、「2対1」とか聞いたことがあると思います。
職員一人あたり何人のご利用者がいる施設なのかを表しています。
「3対1」よりも、「2対1」の方が職員の人数に余裕があるということになります。
また、あわせて確認したい数値があります。
それは、正職員の在籍人数(正社員比率)です。
在籍職員のうち、正職員の人数がどれほどかを確認する必要があります。
給料の割りに責任が重すぎたり、雇用契約書に記載されていない仕事までさせられるなどあれば注意してください。
職場環境で確認したい内容の最後は「離職率」です。
「離職率」とは、1年間に職員の何%が退職していくのかを表す数字です。
数%程度と極めて低い事業所もあれば、50%を超える離職率の事業所もあります。
業界全体の平均は15%弱です。このことから、離職率が30%を超えるような事業所は注意しておくべきでしょう。
※離職率について 資料元:介護労働安定センター「介護労働実態調査」
中には、離職率が80%近い事業所もあるといいます。つまり、1年間で大部分の職員が入れ替わっているということになります。
ただし、これらの情報を教えてくれない事業所もあります。
経営トップの方針や考え方に共感できるか
くり返しになりますが
入社するときは自分の都合で決めていて
退社するときは会社の都合で辞めている傾向にあります。
こんなはずじゃなかった。ということにならない為にも、会社の考え方に共感できるかは大変重要です。
そもそも人はそれぞれ価値観が異なります。
極端な見方をすれば、価値観が異なっているために人間関係がズレてしまい、次第に溝が深まって取り返しがつかない状態になります。
誰しも初対面で修復不可能なほど人間関係は悪くなりません。
日々の価値観のズレの積み重ねが原因です。
そんな価値観を統一し、同じ方向を見るための指針が「会社の理念」です。
しかし、これは後々自分を苦しめる結果となってしまいます。ぜひ、入社前に確認しておきたい項目です。
リサーチが苦手な人や忙しい人は「転職エージェント」を活用することも検討
自分で良い転職先を探し出せることが一番だと思います。
しかし、この記事で説明したように私たちは転職活動に慣れているわけではありませんし
根掘り葉掘り面接官に聞き取りする強靭なハートも持ち合わせていません。
売り手有利な状況にもかかわらず、本気で職場をきちんと選びたいと思っていても、最終的に「安易に決めてしまいます」
また、今の仕事が忙しすぎてリサーチする余裕がない場合もあります。
そのような状況にある人は「転職エージェント」に相談されることをおすすめします。
転職エージェントとは
人材紹介サービス(会社)の別称です。
転職希望者と会社の間にたって、様々な調整を手伝ってくれる代理人のようなものです。
人材紹介とは厚生労働大臣の認可を受けた職業紹介事業者(人材会社)が、会社からの依頼を受け、採用ニーズを充足する人材を探して紹介するサービスのことを言います。
お好みのサイトから無料登録すると、求人情報の紹介から履歴書や職務経歴書等の選考書類作成時のアドバイス、面接日の調整、採用条件・入社日のすり合わせまで無料でサポートしてくれる担当のアドバイザーが付きます。
利用料が無料
転職エージェントは会社から紹介料を受け取るため、無料で利用できます。
自分に合った会社を探してくれる
利用登録すると、最初に求職者と面談をし、転職によってどのようなことを叶えたいのか、またどんな会社が合っているのか等を聞き取ります。
聞き取った情報をもとに求職者に合った会社を紹介してくれるので、「働いてみたら違った」というようなことが限りなく発生しにくくなっています。
未公開求人に出会える
一般には非公開としている求人が存在します。求職者は、転職エージェントに登録することで、その非公開求人を紹介してもらえるチャンスが出てきます。
書類審査、面接の通過率を上げてくれる
転職エージェントは、会社がどのような人を求めているのかを熟知しているので、会社が探している人材であることがアピールできる「履歴書」になるよう、アドバイスすることができます。
給料交渉や面接のスケジューリングなどを代行してくれる
求職者に代わって、給料などの条件面の交渉や、面接日時の調整を行います。言いにくい事を代理で確認してくれるので、とても便利です。転職エージェントに頼んで、根掘り葉掘り聞いてきましょう。
不安になったら相談にのってくれる
転職に関する悩みであれば、どのようなことでも相談することができます。
転職知識ゼロの私たちにはありがたいサービスです。
最後に
今回は転職に失敗してしまう理由や、その対策について書いてみました。
いますぐ職場を逃げ出したい気持ちもあるかもしれませんが、知識武装が重要です。
たった1人で思い悩まずに、周囲の人にも頼ってみましょう。
周囲に頼れる人がいなかったとしても、いまの時代は「転職サイトに登録したり」「転職エージェントを活用したり」することができます。
求人者は手数料を支払う義務はなく、完全無料です。
色々と悩み過ぎずに、頼れるサービスはどんどん活用してみることをおすすめします。
皆さんの転職が成功するための一助となば幸いです。
それではまた!