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今回のテーマは「介護現場のPDCAサイクル」です。
さっそく学んでいきましょう。
この記事で学べること
1.PDCAサイクルが理解できる
2.問題に気づく為のヒントが得れる
ビジネスパーソンなら誰でも聞いたことがある’’PDCAサイクル’’
職場内の問題を解決する有効な手法といえます。
介護の現場でも’’PDCAを回す。’’と言われることがあります。
きいたことはあるけど、どうやって「実践」したらよいかわからない
という方は多いのではないでしょうか。
問題に気づいて正しくPDCAサイクルを開始できるようになりましょう。
PDCAサイクルとは
PDCAサイクルとは、計画(PLAN)→実行(DO)→評価(CHECK)→改善(ACTION)の活動のサイクルを継続的に進めることにより、改善を行う手法です。
計画:PLAN
目標を決め、それを達成するために必要な計画を立案
実行:DO
立案した計画の実行
評価:CHECK
目標に対する進捗を確認し評価・見直し
改善:ACTION
評価・見直しした内容に基づき、適切な処置を行う
この「P~A」をグルグル回しつづけるため、PDCAサイクルと呼ばれます。
PDCAサイクルのメリット
それでは、PDCAサイクルを行うメリットをみていきましょう。
これまで以上に現状を把握・認識できる
事業所の経営状況、業務品質、提供する介護サービスの質などについて
よりよく把握、認識することができるメリットがあります。
良いも悪いも、情報を1人で把握・認識していても役に立ちません。
一緒に働いている職員間で問題を正しく把握する必要があります。
改善のサイクルをはじめることで、今の状況をみんなで共有できることはメリットといえるでしょう。
実際にPDCAサイクルへ落とし込んでみる
例えば事業所の稼働率の低さを問題と設定します。
「強み」「弱み」を把握・認識に努めて皆で共有してみたところ
以下のような状況がわかりました。
日中は十分に看護師の配置ができており、医療機関との連携がしっかりと図れていることで
異常の早期発見、早期予防が図れているため、体調不良で入院する方が少ない。
といった強みがあったとします。
ご利用者が体調を崩されることも少ないし
稼働率も高いなら施設にとっても、ご利用者にとってもいいことですよね。
しかし、逆に入院してしまったケースを振り返ると
24時間看護体制が整っていないため、夜間帯の看護師不在の不安要素があり
夜間帯は日中と比較して対応が遅れて症状が悪化。
入院しているケースのほとんどが夜間帯となっていた。
といった看護体制の弱みがあることに気づきました。
上記のケースでPDCAサイクルを開始する場合
入院患者数を減少させて、稼働率アップを目指す。その為に夜間帯の医療体制の見直しを
実施する。
みたいなプランがとりあえず立案できると思います。
しかし、不十分な要素があります。それは根拠です。
上記の問題点や計画は一見適当のようですが、数字が入っていません。
経験則で問題をざっくり把握・認識することはできていますが
その問題を数字で把握・認識することは苦手な人が多いのではないでしょうか。
数字ときいて脊髄反射並みに拒否反応をおこす方がいます。
村長もその1人でした(笑)
見ただけで逃げ出したくなります、得意な方に任せて寝ちゃっていたいです
(終わったら起こしてほしい)
でも大丈夫です。数字に強くなる必要はありません。
数字を意識できるようになればよいのです。
判断が根拠(エビデンス)のあるものを活用する。
定量評価、定性評価という言葉があります。
定量評価・・・数字に基づいた評価。またはその方法。
回数、時間、量、率 など
定性評価・・・数字では表すことのできないものに対する評価。またはその方法。
方針、プロセス、姿勢、気持ち、考え、心構え、努力、見栄え など
それぞれにメリット、デメリットがありますが
目標が曖昧にならずに各々の感覚ではなく、誰でもはっきりと同じように
把握・認識するためには定量的な方が優れているといえます。
問題解決においても、数字ではっきりと伝える表すことが重要です。
さきほどの事業所の稼働率の低さについて、定量的に考えてみると
日中は〇人(就業時間にして〇〇時間)の看護師が配置されている。
医療機関とは定時報告を〇時・〇〇時・〇〇時に〇日〇回行っている。
このため、異常の早期発見、早期予防が図れている。
これにより入院患者が年間〇〇人と少ない結果につながっている。
しかし、夜間帯は看護師がいない日も月に〇日ほどあり、日中と比較して
オンコール体制であるため到着まで平均〇時間ほどかかっており
対応が遅れて症状が悪化して入院するケースが年間〇〇件ある。
いかがでしょうか(ちょっと雑ですが)
少ない、ほとんど、十分に、しっかりと、整っていない などの
感覚的な表現を無くして
数字を意識することにより、誰でも同じように把握・認識できるようになったと思います。
状況にもよりますが、問題解決をしようと取り組むのであれば、数字を意識した方が
目標がはっきりとして、パフォーマンスが向上することを覚えておきましょう。
次からは、PDCAサイクルを始める前に「正しく問題を把握」するためのポイントを
解説していきます。
問題の原因を「誤認」してしまうと解決できる問題もできなくなるだけでなく
無駄に時間を浪費したり、モチベーションが低下したりなどの副作用があるからです。
こういった状況は避けなければなりません。
そもそも問題って何?
問題とは「あるべき姿」と「現状」とのギャップです。
問題の中にはなかなか解決しないものや
解決したと思っても何も変わらないものが数多くあります。
解決策を立てる以前の「問題」そのものの捉え方が間違っているからです。
自分では「問題」と思っていることが本当に「問題」であるのか
問題解決のために今後取組むべき課題設定をどうすればよいのか、ということが重要になります。
PDCAサイクルを行う前に、そもそも正しく問題を捉えられないと
間違ったPDCAサイクルを実施してしまうリスクが高まります。
そうならないために、問題を正しく捉えるためのコツをいくつか紹介します。
問題を正しく捉えるためのコツ①
「ハインリッヒの法則」を知る。
「ハインリッヒの法則」」とは
事故の発生についての経験則。
1件の重大事故の背後には重大事故に至らなかった29件の軽微な事故が隠れており
さらにその背後には事故寸前だった300件の異常、いわゆるヒヤリハットが隠れているというもの。
「1:29:300の法則」とも呼ばれます。
アメリカの損害保険会社で技術・調査に携わっていたハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが労働災害を統計学的に調査した結果、この法則を導き出しました。
ハインリッヒの法則が示す教訓は
大事故を未然に防ぐためには、日頃から不注意・不安全な行動による小さなミス
ヒヤリハットが起きないようにすることがきわめて重要であり
ヒヤリハットなどの情報をできるだけ早く把握し、的確な対策を講じることが
必要であるということを提唱しています。
この法則はリスクマネジメントの考え方に用いられることが多いですが
問題を認識する上で、こういった背景を理解しているかどうかも大変重要です。
いきなり大きな問題を解決しようとせずに
「問題の原因となっている小さな課題」を探してこれをスピーディーに解決していきましょう。
あんがい、問題の根本原因は簡単なことだった。なんてこともよくあります。
問題を正しく捉えるためのコツ②
「問題を認識するパターン」を知る。
すでに発生している問題
今すぐに対処しなければならない問題。命の危機。会社の資金繰り。 など
明確に認識できて、見えるのが特徴。
すでに問題が発生しているため、最優先で解決しなければならない。
いずれ発生する問題
新たな問題を呼ぶ連鎖型の問題。何かほかの問題が発生して今すぐに対処が無理
という状況で連鎖的に発生。
現状起きてるのか起きてないのか判断が微妙なであり
たいていはリソースに余裕がある限り対処策を打つのがセオリー
とりあえず〇〇しておこう。念のため○○しておこう。といった予防的に関わる
ように心がけるとよいでしょう。
設定型の問題
転倒事故などの問題が起きた時の対処法など
あらゆる可能性が広くありまた統計学的に時間と共に
リスクが発生してくる金融危機や交通事故など自己の対処で
防ぐのは無理な問題。
マニュアル化されており、事業所では標準的に対処できているものが多いと思います。
ただし、マニュアルを意識していない職員がいると何の役にも立ちません。
周知・徹底を心がけましょう。
問題を正しく捉えるためのコツ③
「既存の概念から抜け出す方法」を知る。
1つの組織に長期間所属したり、いつも同じ志向を持つ人たちと一緒にいる
時間が長い人などは
個性的なものの見方や組織や業界のルールにどっぷり浸かってしまっている場合があります。
知らず知らずのうちにそのような枠にとらわれて考えてしまっているのです。
その枠を取り除くには、意識的に次の行動をとることが必要となります。
①業界の常識を疑ってみる
②所属する部門や自分の立場を忘れてみる
③自分の成功体験(経験)以外のやり方を考えてみる
意識的に行動してください。なんて言われてもなかなか難しいですよね。
でも大丈夫です。
できる人の特徴として「どうやって考えてよい」や「どうやって意識すればよいか」などを
考える方法をしっています(勉強しています)
同じように考え方を知れば、新しい思考の展開ができるようになります。
この記事もクライマックスです。最後までがんばってください。
「ゼロベース思考」という考え方
過去の成功体験や自施設・自部門の常識にとらわれて、その経験や常識に基づいた
考え方しかできない場合、その決められた枠の外にある解決法を見落としてしまうことがあります。
ゼロベース思考とは
このような自分たちの常識や既成概念をいったんリセットしてしまい
まっさらの白紙に戻したうえで、考える枠を大きく広げて新しい可能性を求める思考方法です。
名前そのままに「0(ゼロ)何もないを基準にして考える」ということです。
いったんすべての既成概念やしがらみを捨てて、0から最善策を練るという方法です。
この時注意することは、「〇〇はどうせ無理だよな」などという考えは一切入れません。
あらゆる限界や条件を取っ払って考えることが「ゼロベース思考」の基本です。
なぜゼロベース思考が必要なのか?
これまでせっかく積み上げてきたものがある中で
なぜ「0(ゼロ)」から考えなければならないか」
という疑問が湧く人もいるのではないでしょうか。
経験や蓄積があるにも関わらず、ゼロベース思考が必要とされているのは
従来の規則や積み上げたものだけでは思考の限界に直面するからです。
とくに現在は環境の変化が早く、既存のサービスでは通用しなかったり
AIなどの新しい技術の利用・導入が必要となることもあります。
取り巻く環境が変わる中で、既存の社内ルールや経験だけで考えていると
新しい発想や意見が出なくなるという問題があります。
これは事業所に限らず日常生活も同じです。
雇用や税金に関わる法律や生活様式など、さまざまな変化がある世の中に対応しなければいけません。
ゼロベース思考の最大のメリット
ゼロベース思考で取り組むことによる最大のメリットは
なんといっても「新しい価値」を発見できるということです。
ゼロベース思考は、ある意味「常識」すらもゼロにしてもの事を深く考えます。
つまり「常識を打ち破る」ための思考法なのです。
事業所で仕事をしていると社内ルールや以下のようなことで
やれることがかなり縛られる状況に陥ります。
予算の限界
使用しているシステム、マニュアルの限界
組織間の慣習
ゼロベース思考ではこういったものもゼロとしてアイデアを練るので
今まで思いつかなったような「新しい価値」を考えることもできるのです。
ゼロベース思考の注意点
ゼロベース思考が素晴らしそうなことは何となく分かったと思います。
しかし、ゼロベースで考えることがいかに難しいかは、自身の経験はもちろん周りを見れば
一目瞭然です。
誰しもが使いこなせるようになるには大変な努力と時間が必要となるでしょう。
しかし、何もしなければ成長もありません。
村長が伝えたいことは
ゼロベース思考などといった「自分が知らない考え方」もある
ことを知って、学び始めるきっかけにして欲しいということです。
本を何冊も読んだり、高い受講料を払って研修にいっただけでは意味がありません。
学んだことが身につくまでトライ & エラー を繰り返すことが重要です。
また、身につかないといっていつまでも考えすぎて前に進めないこともよくありません。
「いつまでもたどり着けないベストな策」よりも
「ベターな策で実行に移して、軌道修正しながら精度を高めていく」
「どうしたらできるようになるのか?」を考え走りながら試行錯誤していきましょう。
絶対にやってはいけないこと(成長もできないし、状況も悪化します)
①問題が見つかればだれが悪いのか犯人さがしをする
②社業の発展に貢献した先輩のやり方が時代の流れにそぐわないと指摘する
③最新の経営理念や公的規格をベースにやっているので間違うはずがない。あるとすれば運営が間違っていると決めつける
④業績は悪くない。このままで良くないか?問題さがしはやめようと楽観的になる
このように改善と真逆に暴走している人も目にします。
本人は気づいていないこともあるため、気を付ける必要があるでしょう。
最後に
会社やプライベートで「解決したい問題」があるのなら
「PDCAサイクル」や「ゼロベース思考」はあなたが抱える問題を解決するための
手段・方法の1つです。
当然ですが手段や方法は沢山準備していた方が得です。
知らなかったのであれば、新しい考え方を知ることが出来たことで
成長につながります。
既に知っていたことであれば、精度をあげるための振り返りとなると思います。
世の中には多様な考え方があります。
あなたの仕事はなんですか?と問われるならば、どのように答えますか?
「介護が必要な方々の支援をすることです。」
「ご利用者の生活を支えることです。」
「自立支援を通して、人生に生きがいをもって頂くことです。」
上記は村長の会社で実際に社員が答えてくれた内容です。
間違ってはいません。
しかし、もし「それだけ」が仕事だと思っていたとしたら
その人の将来に非常に強い不安を抱いてしまいます。
「自立支援を通して、人生に生きがいをもって頂くために、課題の把握や改善に取り組むことです。」
あるいはストレートに
「PDCAを回すことです。」
といった答えも間違いではないでしょう。
後者の方が、仕事とは何かといった本質をとらえているとも解釈できます。
どんな会社にも「問題」は存在しています。
紹介した手法や考え方で問題に向き合うことで、新たな突破口が見つかるかもしれません。
誰かにやらされるのではなく、自らが問題を発見しPDCAサイクルを動かす側へ
シフトしてみませんか?
あなたの成長にとってどちらが有意義かは言うまでもありません。
それではまた!