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みなさんは自分の会社の売上を把握しているでしょうか。
どれくらい利益が出ているのかは、財務諸表(決算書とも言われることがある)に書いてあります。
学生は学期の終わりに通知表をもらいます。
その通知表には、学校でどのくらい頑張ったかが成績として書かれています。
ちゃんと数字で評価されており、基準がとても分かりやすいのが特徴です。
会社も同じように評価される仕組みがあります。 それが、財務諸表です。
つまり財務諸表は会社の通知表なのです。
今回のテーマは「財務諸表をざっくり読めるようになる」です。
会社の通知表をざっくり読めることで、自分が勤めている会社の状況を知ることができます。
さらに会社の状況を分析できることで、自社の強みや反省点を見つけることができます。
また「経営」といった新しい視点から業務に取り組めるようになります。
他にもメリットがあります。
「会社の実態は入ってみなければわからない」とも言われますが、財務諸表を読むことができれば、その会社が過去にどんな活動をしていたのかがわかります。
自分の会社の経営状況が良くないことを知ることができれば「転職活動」といった対策がうてるようになるのです。
さらに、見つけた転職先の状況を数字で把握することもできるようになります。
社内の人間関係などの実態は入ってみなければわからないと思いますが、少なくとも転職先の会社に将来性があるかなどは判断することができるようになります。
このようなメリットがある財務諸表は隅々まで読めるようになる必要はありません。
ポイントだけおさえておけばOKです。誰でも読めるようになります。
この記事で学べること
1.財務諸表の大切なとろこだけ見れるようになる
2.経営者の視点で業務を考えられるようになる
財務諸表を読みたい人はだれなのか
通知表はだれが見るでしょうか?
まずは、自分がどのくらいの成績だったかを知るため、もらった本人が見るでしょう。
他には、学校でどのくらい頑張っているのかを知るため、家族が見ると思います。
通知表を見れば得意科目や苦手科目がわかります。今後どうすればよいかの参考にもなります。
例えば、苦手なところはあきらめて得意なところを伸ばしてみるのはどうでしょうか。
文系が得意で理数系が苦手というのは珍しくないと思います。
このように通知表はとても役に立ちます。
では、財務諸表はだれが見るのでしょうか?
会社にはたくさんの人が関係しているため、成績を気にしている人も沢山います。
ですから、会社にも通知表が必要です。
たとえば、税務署は税金の計算に使います。
税金は、会社がもうかったら国にその一部を支払うルールです。 財務諸表をもとに、どのくらいもうかっているかを確認します。もうけを少なくしていないかを確認するのにも使っています。
銀行はお金を貸すのが仕事です。
貸したお金が返ってこないと損をしてしまいます。 そのため、お金を借りたい会社の財務諸表を見て、銀行は貸したお金が返ってくるかを考えるのに使います。 そして、きちんと返してもらえそうな会社にお金を貸します。 その時は、会社の得意なところ、苦手なところを財務諸表から調べます。 苦手なところ以上に得意なところがあれば「きちんと儲けて返してもらえるな」と考えます。
従業員は会社の経常利益を見ます。自分が働いている会社は健全な運営がされており将来性があるのか、今後も安定して給料やボーナスを支払える状態であるのかを確認します。そして、この会社で働き続けるのか、転職するのかを考える参考にするのです。
損益計算書(PL)ってなに?
損益計算書は
「収益」=売上
「費用」=売上を得るために使ったお金
「利益」=最終的に会社に残ったお金
の3つから成り、プロフィット・アンド・ロス(P/L)とも呼ばれています。
収益とは企業が稼いだお金のことで、費用とは収益をあげるために必要な経費のことです。また収益から費用を差し引き、企業に残ったお金のことを利益といいます。
損益計算書は、会社の1年間の成績表です。
1年が終わると数字の積み重ねはなくなり、次の年では0からスタートします。 そのため、今年1年間だけでどの程度頑張れたかを見ることができます。
損益計算書は会社の通信簿とも呼ばれるほどの重要な書類です。まず確認しておかなければならないのは、当然ですが利益がプラスになっているかどうかです。
損益計算書で見るポイントは1つだけ!ずばり「経常利益」です。
それ以外にも色々な項目がありますが、私たち介護士には特に重要ではありません。
その他の項目(あまり重要ではないので無視してもOKです。)
・売上高:企業の本業で得た収益です。
・売上原価:売上をあげるために必要な費用のこと。小売業の場合は商品の仕入高、製造業の場合は原材料費などがこれにあたります。
・売上総利益:売上高から売上原価を差し引いたもので、いわゆる粗利のことです。
売上総利益=売上高-売上原価
・販売費及び一般管理費:売上をあげるためにかかった費用(人件費や広告費、家賃)のことです。
・営業利益:売上総利益から販売費及び一般管理費を引いた利益のこと。営業利益が本業での利益にあたります。
営業利益=売上総利益-販売費及び一般管理費
・営業外利益:株の配当金、受取利息など、本業以外で得た利益のことをいいます。
・営業外費用:借入金の利息など、本業以外でかかった費用のことです。
・経常利益:営業利益に営業外利益を足し、営業外費用を引いた利益のことをいいます。
経常利益=営業利益+営業外収益-営業外費用
・特別利益:臨時的な本業以外で得た利益のことです。
・特別損失:臨時的な本業以外でかかった費用のことです。
・税引前当期純利益:経常利益に対して、臨時的な利益や損失を加減し、法人税などを納める前の利益のことをいいます。
・法人税等:法人税や住民税など、納めるべき税金のことです。
・当期純利益:税引前当期純利益から法人税等を差し引いた最終利益のことをいいます。
当期純利益=税引前当期純利益-法人税等
とても成績が良い年があっても翌年には影響がありません。
たとえば、昨年すごく良い成績でも今年の成績が悪ければ、悪い数字になります。
ただし、実はまったく積み重ねがないわけではありません。
会社も人もこれまでの経験が蓄積されたり、便利な道具が増えたりといった形で積み重ねがあります。
前期と比較することで、なにが悪かったのか、なにが良かったのか、問題点がわかりやすくなります。
貸借対照表(BS)ってなに?
貸借対照表は、会社が設立されてから今までやってきたことに対する成績表です。 これまでの経営は順調だったか、そうでなかったかは貸借対照表を見るとよくわかります。
貸借対照表は、ゲームのステータスみたいなものです。
たとえば
ある日、冒険者は村を出て旅に出る決意をします(会社設立)
冒険の中で敵をたおしてレベルが上がったり、お金を稼いだり、役に立ちそうな道具や武具を買ったりします(事業活動に使う資金をどのように調達して、どのように運用したか)
そしてセーブポイントでステータスを見てみると、現在のレベルや手に入れたアイテムを見ることができます。力はどれくらいか、賢さはどうか、体力は人それぞれ成長のが違い、個性がでます(決算日の会社の財政状況)
そんな貸借対照表は「3つの部」に分かれています。
総資産の部
自分がもっているお金も、借金もすべてひっくるめた資産のこの。
(負債 + 純資産)
負債の部
他人から借りている借金のこと。
純資産の部
自分がもっているお金のこと。
わかりやすいように「3000万円の家を買う」とイメージしてみましょう。
総資産 = 家
負債 = 借金(ローン)
純資産 = 手元に残っている自己資金
すこし、わかりやすくなったでしょうか。
また、左右のバランスがとれているので、バランスシートとも呼ばれます。
一般的に「負債(借金)が少なく、純資産(自己資金)が多い」方が健全な状態だといえます。
貸借対照表(バランスシート)は会社がどんな状況にあるのかを示す診断書、といえるでしょう^^
キャッシュフロー計算書ってなに?
キャッシュ = 現金
フロー = 流れ
つまり、キャッシュフロー計算書とは、会社の現金の増減を表しています。
今年の初めにいくらの現金があって、最後に現金がいくらになったかが書かれていたり、どういう理由で現金が増えたのか、どういう理由で現金が減ったのかがわかります。
キャッシュフロー計算書が必要な一番の理由は「会社の将来の現金がどうなるのか」を知るためです。
会社にお金が入ってくることを「キャッシュイン」
会社からお金が出ていくことを「キャッシュアウト」
と言い、キャッシュインからキャッシュアウトを差し引いた収支がキャッシュフローです。
キャッシュフロー = キャッシュイン - キャッシュアウト
キャッシュフローがプラスのときは、会社のお金は増えています。
キャッシュフローがマイナスのときは、会社のお金は減っています。
赤字でも会社にお金があれば倒産しません。しかし、黒字でも会社にお金がなければ倒産してしまいます。
ここまでのまとめ
財務諸表は会社の通知表。
会社の成績を知ることで、経営層の意図が理解できたり、転職活動にも活用できる。
損益計算書は、会社の1年間の成績表。
定められた期間の中で、どれくらい儲けたかは「経常利益」を見るとわかる。単年ではなく、前年と比較すると問題点がわかりやすい。
貸借対照表は、会社が設立されてから今までやってきたことに対する診断書。
他人からどれくらいお金を借りているか、自分の手持ちのお金はどれくらいあるのか、借金と自己資金を合わせた総資産はいくらあるのかをしることができる。
キャッシュフロー計算書は、会社の現金の増減を把握するために必要。
売上があっても会社に現金が残っていないと倒産してしまうため、今後どれくらい現金が残るのかを知る必要があります。
財務諸表を公開したくない会社もある
ここまで財務諸表について説明してきましたが、一般的に会社は積極的に財務諸表を公開しません。
そもそも、上場企業以外は原則公開する義務がないからです。
※公開義務はありませんが、最低でも1年に1回は作成が義務付けられています。
上場している有名企業は、財務諸表を公開する義務があります。そのため、インターネットでも見られるようになっています。
社員全員に財務諸表を公開することで「一人一人が数字に責任を持ち、経営者の感覚で仕事をするようになる」といったことは理想的なことです。
しかし、このような「オープンブック・マネジメント」という考え方にはリスクがあるのです。
たとえば
「利益の◯◯%をボーナスで還元する」というルールを定めている場合はどうでしょうか。
社長が「新事業所を立ち上げたいので投資をしたい」と思っていても、逆にその利益をすぐに還元してほしい社員との間で利害が一致しません。
ボーナスを多くもらいたい社員からすれば「約束が違うじゃないか」ということになってしまいます。
最後に
介護士不足が叫ばれている昨今ですが、経営層からみれば少ない人数でも問題なく現場が回っているのなら、それは理想的です。
理由は、少数精鋭化したほうが社員1人1人の待遇も良くできるし過剰な人件費も抑えられるからです。
そのためにも会社は、自社の経営状況を理解し、経営視点で業務に取り組める社員を大変貴重な人材であると考えています。
つまり、財務諸表は読めたほうがいいのです。
いつの時代も数字に強い社員は大切にされます。
財務諸表を読めるようになって、あなたの社内価値を高める一助になれば幸いです。
それではまた!